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空色勾玉【読書感想・あらすじ】荻原規子が贈る、勾玉3部作の第一弾

荻原規子さん著書の『空色勾玉』の読書感想記事です(^^)

 1988年と28年前に発刊された本書。

中学生以上が対象の児童書として刊行されましたが大人でも充分楽しめる内容の濃い、ファンタジー小説となってます。

目次

あらすじ

国家統一を計る輝の大御神とそれに抵抗する闇の一族との戦いが繰り広げられている古代日本の「豊葦原」。ある日突然自分が闇の一族の巫女「水の乙女」であることを告げられた村娘の狭也は、あこがれの輝の宮へ救いを求める。しかしそこで出会ったのは、閉じ込められて夢を見ていた輝の大御神の末子、稚羽矢。「水の乙女」と「風の若子」稚羽矢の出会いで変わる豊葦原の運命は・・・ (アマゾンより引用)

古事記を彷彿とさせる世界観

時代背景は日本の神話の時代。

古事記の世界感がモチーフになっています。

イザナギとイザナミのお話しです。ご存じの方も多いかと思いますが、簡単に説明するとイザナギとイザナミは子どもをつくり続け、日本列島や自然を形成していきます。

イザナミは最後に火の神を産んだ際に火傷ど負い死んでしまいます。激怒したイザナギは剣で火の神を切り殺し、黄泉の国までイザナミに逢いにいきます。

しかし黄泉の国であったイザナミは変わり果てた姿に・・・

イザナギはなんと逃げ帰り黄泉と地上を繋ぐ道を大岩で塞いでしまいます・・・

本書『空色勾玉』で描かれる輝の大御神と闇の大御神の関係はまさにイザナギとイザナミの関係そのものです。舞台はまさに古事記で描かれるような日本古代の神話の世界です!

主人公達の成長・恋愛ドラマも必見

主人公の狭也は15歳の少女。闇の一族の「水の巫女」ですが6歳の頃に両親を殺され、今は輝の一族が統括する村で育ての親達と幸せに暮らしています。

唯一、たぶたび悪夢を見るのことだけが悩みの種です。

暗い影もありますが基本、芯のしっかりした少女。容姿は「村娘とは思えない」噂されるほど美人と評判です。

自分が闇の一族と知ってからも輝の一族でありたいと願っおり、憧れの月代王との偶然の出会いから輝の宮に行き、采女(食事の世話などする女官)になります。

もう一人の主人公の稚羽矢は物語の中盤に差し掛かったあたりからやっと登場。輝の大御神の末っ子で、姉の照日王から「出来の悪い弟」と評される通り、今いちパッとしない感じです。姉にずっと幽閉され続け、手足を縛られながら剣の巫女をしていました。

輝の宮で二人は出会い、捕らわれた鳥彦を救出するため大蛇の剣を持ち出して輝の宮を抜け出します。

その後は闇の一族達と行動をともにし物語が進んでいきます。

ファンタジーの主人公(特に男)は無双の強さの誇り、それが魅力の物語もありますが、本書はそうではありません。

人づきあいが得意でなく、従順ではありますが自分の意志もあまり強くなく頼りない感じです。

しかも奔放な行動からみんなに迷惑をかけ、気のふれた人と誤解されたりして登場してからも中々、活躍してくれません。読んでてイライラするくらいに(^^;)

物語を読み進めつつ、こんな未熟な主人公達(特に稚羽矢)の成長や二人の関係の変化を楽しめるのも本書『空色勾玉』の魅力の一つです。

脇を固める個性的なキャラクター

闇の一族

 個性派揃いです。

老婆の岩姫は闇の一族の導き役を担い、皆から一目置かれる存在。終盤では主人公たちの為に大きな役割を果たします。

鳥彦は生意気ですが、どこか憎めない少年。中盤からはとある理由で鳥の姿なりますが最後まで狭也を支え続けます。

狭也がピンチの時に現れるのは鳥彦の方が多かったりします(^^;)

開都王、科戸王、伊吹王は武骨、豪快、いぶし銀というような言葉が似あう闇の一族の王達。開都王はそのなかでもリーダー格。

科戸王は狭也に想いを寄せており、稚羽矢に対しては冷たくあたりがちです。

伊吹王は稚羽矢の剣の師匠であり、彼の成長には欠かせない人物として描かれています。

輝の一族

なんといっても輝の御子である照日王と月代王の姉弟でしょう。

姉の照日王は激しい気性の持ち主でまさに武人という感じ。

逆に月代王は物静かで冷静。この二人は外見こそ似ているが性格は正反対。会えばケンカが絶えません。でも実は仲良しだったり、妖しい関係だったり・・・。

 個性的な闇の一族に比べ、容姿端麗で絶対的な能力を持つという完璧なキャラクターとして描かれてます。

主人公や闇の一族達にとって最大の壁となります。

敵側ではありますが完全なる悪人としては描かれている訳でなく、この二人はマンガやアニメなどでビジュアル化されれば主人公以上に人気が出るタイプかもしれません。

勾玉は3部作

本書『空色勾玉』以外に『白鳥異伝』『薄紅天女』と3冊併せて勾玉3部作と呼ばれてます。

大人になってから読んでも面白い本格ファンタジー小説! 勾玉3部作の第二弾【白鳥異伝 上・下】

【薄紅天女】【白鳥異伝】【空色勾玉】日本史をモチーフにした本格ファンタジー『勾玉シリーズ』過去巻のおさらいと最終巻のレビュー。【大人でも楽しめるファンタジー小説】

まとめ

 本書が発刊された1988年といえば『ロードス島戦記』や『アルスラーン戦記』が流行っていた頃かなと記憶してます。(アルスラーン戦記は現在、漫画で連載されてますね)

ファンタジーといえばこれらのように西洋を舞台にしたものが王道のような気もしますが、日本を舞台にした物語も良いですね!

児童書として発刊されたようですが人物の心情、風景の描写一つひとつが丁寧に表現されていて稚拙な感じは全くありません。

四十路の私でも楽しく読むことができましたので年齢を問わず、ファンタジーが嫌いでない方には是非オススメしたいです。

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