『Shall we ダンス?』は今からちょうど20年前の1996年、公開されました。観客動員約200万人、その年の映画賞を総ナメにした傑作です。
あらすじ
真面目でごく普通のサラリーマン杉山正平は、ある晩、ダンス教室の窓べに、ものうげにたたずむ美しい女性を通勤電車から見た家庭にも会社にも何の不満もなかったが、どこか空しさを感じていた彼が、数日後、ためらいながらもダンス教室の扉を開くと、そこには「社交ダンス」の摩訶不思議な世界が広がっていた…。 (アマゾンより引用)
この映画を初めて見たのは20代の頃。その時も面白いとは思いましたが、さして心に残る程ではありませんでした。2回目となる今回は私も40歳。丁度、役所広司が演じる主人公と同年代です。感情移入も手伝い、印象深い映画となりました。
平凡なサラリーマンとエリートダンサー
役所広司が演じる主人公はごく普通のサラリーマンの杉山正平(以下、杉山)。仕事に情熱を持っている訳ではないのですが真面目故に仕事はしっかりこなし、飲みに行っても遅くなる前には帰ります。
妻と子供が一人で夫婦仲は良好。最近、庭付きのマイホームを購入。と順風満帆ではありますが平凡な生活に少し物足りなさを感じている・・・。
ダンスを始めたのは最初は美人講師が目当てです。超人気マンガの「スラムダンク」の主人公の桜木花道もマネージャーの晴子に一目惚れするところからバスケットを始めますが、本映画もそんな感じ。男が何かをはじめるきっかけなんて幾つになっても変わらないですね(^^;)
一方、もう一人の主人公は草刈民代が演じる、とある理由で傷心の美人講師の岸川舞(以下、舞)。子供の頃からダンス一筋でイギリスのブラックプールで行われる世界的なダンス大会で好成績を残せるほどの実力の持ち主。今は競技はしておらずダンス講師に専念している。
良く言えば美人で清楚で品がある女性。悪く言えばプライドが高く、どこか無機質なイメージを持ってます。
舞は当初、杉山のことを自分目当てでダンス教室に来たことを察知しており、あまり良く思っておりません。一方、杉山は最初は舞目当てだったものの次第に本気でダンスに夢中になっていきます。
本映画は見どころが沢山ありますが、やはりこの二人の主人公の関係、心情の変化が一番の見どころでしょう。
ダンス仲間は豪華なキャスト
社内ではパッとしないがダンスになると情熱的になる会社の同僚の青木富夫を竹中直人が演じます。最初は素人同然の杉山に色々、アドバイス!?(ダンスのアドバイスではなく周囲にバレないようにする方法など)してくれたりダンスパーティに誘ってくれたりします。
プライドが高く有閑マダム的な振る舞いをするダンス教室の唯一!?の女性生徒の高橋豊子を渡辺えり子が演じます。イメージですが社交ダンスの競技人口は男性より女性が多いような気がしますが本映画でしっかりストーリに絡んでくる生徒としては唯一の女性です。故に重要な役回りになっています。
他にも一緒に初心者グループとしてレッスンをはじめた服部(徳井優)と田中(田口浩正)。グループレッスンで杉山達をやさしく指導してくれるベテラン講師のたま子(草村礼子)。杉山の帰りが遅くなったことに心配し、探偵まで雇う杉山の妻、晶子(原日出子)。晶子が雇った人の良い探偵、三輪徹(榎本明)・・・。
豪華な脇役たちの好演がストーリーを引き立てます。
90年代の懐かしい風景
本映画の舞台となるダンス教室は東京の江古田。周囲に音大がひしめき「芸術と学生」の町といった感じの町です。私は数年程ですが江古田に住んでいて映画内で杉山が通勤に使っていた西武池袋線で通勤していたことがありました。この映画が撮影された時は私の住んでいた頃よりずっと前ですが駅前の雰囲気とかは何となく面影が残っていて親近感が沸きました。また登場する女性の髪形やファッション、ベージュ色でデカいパソコンなどは時代を感じさせますね。若い方には古臭く映るかもしれませんが私はどこか懐かしさを感じました。杉山が自宅で娘と代わり交代でパソコンを使用している描写などはスマホが普及した今ではあまりないことでしょうね(^^;)
まとめ
きっかけはスケベ心でも「新しい何かをはじめる・熱中する」ということは若い時だけのことではないと勇気づけられる作品でした。今では高齢化が進み、40代でもまだまだ若いという風潮も出てきている気がしますが本映画の時代の40代は今よりもっと落ち着いているイメージがあるのでなおさらです。
勿論、ハートフルコメディとしてストーリが秀逸で豪華キャストの好演もあり、どの年代の方におススメできる映画ですが、特に私の同年代の方に改めて観ていただきたい映画です。
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