小柄ながら豪快且つスピード感あふれる演奏をすることから「リトルジャイアント」と呼ばれていた名テナーサックス奏者のジョニー・グリフィン。
マイルス・デイビスやジョン・コルトレーンのように常に自己の音楽を追求し、ジャズに新たな方向性を示すようなイノベータータイプのミュージシャンではありませんが、ジャズテナーサックス奏者として評価が高く、幾つもの名盤を残しています。
ジャズを聴き始めの方でテナーサックス奏者が気になる方はチェックしておいて損はないはずです。
今回はジョニー・グリフィンをおすすめ名盤とともに紹介したいと思います。
ジョニー・グリフィンについて
生誕:1928年4月24日
出身地:イリノイ州
担当楽器:テナーサックス
ジョニー・グリフィンの主な経歴
年号 | 内容 |
1928年 | イリノイ州シカゴで生まれる。高校で音楽を学び、最初に演奏していたのがクラリネット。その後、オーボエ、アルトサックスと担当楽器を変えていったがライオネル・ハンプトンの勧めでテナーサックスに落ち着く |
1945年 | ライオネル・ハンプトンの楽団で音楽活動をはじめる |
1956年 | 初のリーダーアルバム『Introducing Johnny Griffin』をリリース |
1957年 | アート・ブレイキーのジャズメッセンジャーズに入団。 |
1963年 | 1963年以降はヨーロッパに活動の場を移す。最初はフランス、1978年にはオランダへと移住した。 |
2008年 | 心臓発作により80歳で亡くなる |
テナーサックスの魅力を堪能できる豪快なブローとスピード感
「豪快で早い」ジョニー・グリフィンの演奏を至極シンプルにいうとこんな感じです。
低音で豪快な音色も早いパッセージ(運指)もテナーサックスという楽器の醍醐味です。
ですのでテナーサックスという楽器の良さを存分に引き出せる、確かなテクニックを持ち合わせていたミュージシャンと言えます。
またジョニー・グリフィンの場合は「早い演奏」と言っても決してメカニカルな演奏ではありません。
早いながらもしっかりフレーズが歌っていることも魅力の一つと言えます。
「ジャズの最初の1枚」という意味ではなかなか最初に名前が挙がってくるミュージシャンではないかも知れません。
ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、スタン・ゲッツあたりを聴いてみてテナーサックスに魅力を感じた方は是非、ジョニー・グリフィンも聴いてみてください。
ジョニー・グリフィンおすすめ名盤①
ア・ブローイング・セッション+1
ジョニー・グリフィンの代表作といえる1枚。
何とテナーサックス奏者が3人も参加している作品です。
ジョニー・グリフィンとハンク・モブレー、そしてジョン・コルトレーン。
『ア・ブローイング・セッション+1』は1957年のリーリスなのでハード・バップの全盛の頃。当時のテナーの名手が揃った演奏は迫力十分です。
リズムセクションもウイントン・ケリー、ポール・チェンバース、アート・ブレイキーと超一流のメンツ。さらにトランぺッターのリー・モーガンがこのメンバーに加わるので超豪華!
おすすめ曲は『オール・ザ・シングス・ユー・アー』。
超有名スタンダード曲をこの豪華メンバーの演奏でお楽しみください。
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ジョニー・グリフィンおすすめ名盤②
ザ・ケリー・ダンサーズ
スピード感あふれる演奏が得意のジョニー・グリフィンですが、本アルバム『ザ・ケリー・ダンサーズ』はミディアム、スローテンポの曲が中心の1枚です。
歌心あふれる演奏でジョニー・グリフィンが決して早いだけの演奏を得意とするサックス奏者ではないことを再認識できます。
収録曲の『ハッシャバイ』はジョニー・グリフィンの代表的な演奏の一つです。
哀愁漂う名演奏を聴かせてくれます。
ジョニー・グリフィンおすすめ名盤③
イントロデューシング・ジョニー・グリフィン
ジョニー・グリフィンがブルーノートでリリースした初のリーダーアルバム。
ウィントン・ケリー、カーリー・ラッセル、マックス・ローチをリズム隊に従えた1ホーンアルバムです。
『イッツ・オールライト・ウィズ・ミー』の豪快でスピード感あふれる演奏はまさにジョニー・グリフィンの真骨頂とも言えます。
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ジョニー・グリフィンおすすめ名盤④
ザ・リトル・ジャイアント
1959年にリリース。自らのニックネームをアルバムタイトルにした意欲作。
ブルー・ミッチェル(トランペット)、ジュリンアン・プリースター(トロンボーン)を従えての3管。
どの演奏もハード・バップらしいファンキーな印象です。
おすすめは『Olive Refraction』。
3管の競演が素晴らしいですがやはり主役はジョニー・グリフィンですね。
ジョニー・グリフィンおすすめ名盤⑤
ザ・コングリゲーション
https://youtu.be/7oy4fP0t2Rk
1957年、リリース。
イラストのジャケットがオシャレですね。
ブルーノートレーベルのジャケットは暗いイメージのものが多いので尚更、引き立ちます。
もちろん中身も素晴らしいです。
参加メンバーの中にはベースのポール・チェンバースとピアノのソニー・クラークがいるのですが双方ともハード・バップの時代におけるトップミュージシャンです。
特にソニー・クラークは女性の足をアップで撮った写真のジャケットが超有名なアルバム『クール・ストラッティン』のリーダーでもあります。
最強のリズム隊を従えた1ホーンでの演奏はジョニー・グリフィン節を充分堪能できます。
おすすめ曲はアルバムタイトルにもなっている『ザ・コングリゲーション』。
ミディアムテンポでキャッチーなメロディなのでジャズを聴き始めの方もとっつきやすいと思います。
Amazon『Prime Music』で聴けるジョニー・グリフィン
- The Complete Recordings: 1956-1960
- The Complete Recordings: 1960-1962
- The Man I Love
- A Blowing Session
- Introducing Johnny Griffin
Amazonのプライム会員だと上記、5つのアルバムが無料で聴けます。
今回、ご紹介したアルバムは2つ含まれてます。
どちらも代表作なのでジョニー・グリフィンを知るきっかけには十分です。
是非、聴いてみてください(^^)
まとめ
1950年代半ば、ハードバップ全盛の頃はジョン・コルトレーン、ソニーロリンズと匹敵するほどの評価だった実力者。
ジャズの形態が目まぐるしく変わっていく1960年代以降は「周りに流されない一貫した演奏スタイル」が災いしてか「大きく変貌を遂げる」ジョン・コルトレーンや「自身の演奏スタイルに悩み幾度も失踪する」ソニー・ロリンズに知名度では大きく水を開けられてしまいます。
実際、日本でもそんなに人気がなかったようです(^^;)
しかし、常に新しい音楽を追求してきた人ばかりが素晴らしい訳ではありません。
ジョニー・グリフィンのアルバムを聴くと安定して極上のハードバップを聴かしてくれます。
歌心あふれる演奏なのでジャズの初心者の方にも充分におすすめできるミュージシャンです。
以上、「ジョニー・グリフィンおすすめ名盤5選【最速のテナーサックスと呼ばれるリトルジャイアント】」でした。