十二国記【月の影 影の海 上・下巻】小説版の読書感想・あらすじ

少女の平穏な人生を一変させる途轍もない「運命」とは___。

ファンタジー小説の名作『十二国記』シリーズの第一作目となる『月の影 影の海 上・下巻』の読書感想・あらすじです。

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あらすじ(内容紹介)

「あなたは私の主(あるじ)、お迎えにまいりました」
学校にケイキと名のる男が突然、現われて、陽子を連れ去った。海に映る月の光をくぐりぬけ、辿(たど)りついたところは、地図にない国。
そして、ここで陽子を待ちうけていたのは、のどかな風景とは裏腹に、闇から躍りでる異形(いぎょう)の獣たちとの戦いだった。
「なぜ、あたしをここへ連れてきたの?」
陽子を異界へ喚(よ)んだのは誰なのか?帰るあてもない陽子の孤独な旅が、いま始まる!
(Amazonより引用 ※上巻)

天命により王と定められた陽子
地図にない国──十二国をめぐる愛と勇気の冒険ファンタジー

容赦なく襲いかかる妖魔の水禺刀で応え、裏切りに疲れた旅の果て、陽子は唯一の親友となる半獣の楽俊と出会う。2人は豊かな隣国、雁の国に向かい延王に謁見。そして、なぜ陽子が過酷な試練をへて異界へ旅立つことになったか、真実が明かされるのだった。
(Amazonより引用 ※下巻)

主人公の陽子は女子高生。ちょっと躾が厳しめの家庭で育ち、学級委員長も務める真面目な少女です。
ただどちらかと言うと他人に流される性格、言わば「ことなかれ主義」の傾向があり、誰にでも少し距離を置いて接するタイプ。

容姿の特徴として生まれついて「赤髪」であるということ。
そのせいで悪目立ちしてしまい、いくら真面目にしていてもあまり良く思っていない先生もいる様子です。

そんな陽子がここ一カ月に亘り、「奇妙な夢」に悩まされます。
「自分が異形の獣に襲われそうになる夢」です。

物語の冒頭では上記の

 

  • 陽子の人となり
  • 一月前から見ている悪夢

 

この2点を描いた後、いきなりの急展開です(^^;)
上記のAmazonの内容紹介通り、いきなりケイキと名乗る金髪の男性が学校に突如現れ、強引に「ついてこい!」と陽子を屋上に連れ出します。

屋上にいたのは夢に出てきた異形の獣です。
ケイキはさらに仲間を呼び出し、陽子に刀を差しだします。これであの獣と戦えと・・・。

何のことやらさっぱりわからず陽子は抵抗するのですが、ケイキの奇妙な仲間たちの援助もあり!?
異形の獣を倒します。(というか無理やり、倒させられた・・・)

「家に帰りたい!」と泣き叫ぶ、陽子にケイキとその仲間たちは「一度で良いから来てほしい」と半ば強引に連れていきます(^^;)

どこに連れていくかというと・・・。

本書『十二国記』の舞台となる異世界。

ここから本格的に物語が始まります。
陽子たちは異世界に付くといきなり敵襲に遭い、離ればなれになってしまいます。
見知らぬ世界にひとりぼっちになってしまった陽子の運命は___。

とにかく異世界についた陽子は試練の連続です。
人間不信に陥ってしまうくらいに・・・。

上巻を読み終えるあたりでは陽子がひどい仕打ちに遭ってばかりのストーリーなので
読むのがつらくなりますが(^^;)
下巻からは物語の全容が見えてきます。

異世界と日本のつながりは?

何故、陽子は異世界に連れてこられたのか?

異形の獣の正体は?

ケイキとは何者なのか?

是非、本書を手に取ってみてください(^^)

ちなみに一応はこの上下巻で区切りよく物語は完結してはいるのですが、位置づけ的に本書『月の影 影の海』はこれから長く続く『十二国記』シリーズの序章といった感じ。
本書で世界観にどっぷり浸かれることができた方は、きっと続巻を読みたくて仕方がなくなります。
私も早速、本屋に行こうと思います(^^;)

※ここから下はネタバレを含みます。

『十二国記』の舞台設定について

舞台となる「十二国」とは

その名の通り十二の国から成る世界__。
勿論、我々の住む世界には当然、存在しない異世界です。

設定としては我々の住む世界とは虚海という広大に海に隔てられています。
本来は我々の世界と十二国とは行き来できないのですが「蝕」と呼ばれる天変地異的な現象によって3年に1回程度は我々の世界から十二国に流れ着いてしまうことがあるようです。
運悪く、異世界に流れついてしまった人々は「海客(カイキャク)」と呼ばれ、待遇は十二の各国により様々です。

電気などは通ってなく車やテレビもありません。
旅は徒歩か馬を使います。

イメージとして昔の中国でしょうか。

王と麒麟

十二国では各国に一人の王と麒麟が存在します。
麒麟とは中国の神話に出てくるあの麒麟をイメージしていただければ間違いないと思います。
この世界では麒麟は天意によって王を選ぶ役割を担います。
各国の王は麒麟に選ばれることで国を統べることを許され、神に近い存在になります。

国の統治が上手くいってる限りは王も麒麟も何百年と生きることができます。
しかし、選ばれた王が私欲に負け、天意に反するような悪政を続けていると・・・。

麒麟は病気を患ってしまいます。麒麟が病気を患うことが一つの警告になるのですね。
王がそれでも行いを改めない場合は麒麟は死んでしまいます。

そして麒麟が死んでしまえば神の存在に近かった王もその特権を解除され死んでしまいます・・・。
いわばこの世界は王と麒麟は一心同体な訳です。

本来はどの王も天意によって選ばれる訳ですから王としての資質は兼ね備えた人物といえます。
しかし権力を持ってしまえば全てがうまくいかないのです。
国によっては500年以上も続いているところもあれば何度も王が代わっているところもあります。
当然ながら一人の王で長く続いている国は栄え、何度も王が代わっている国は悪政の連続ということなので貧しく治安が悪くなってます。

妖魔とは

十二国にどこからともなく現れる異形の獣。
基本的な誰かを狙い撃ちして襲うということはしないのですが麒麟の命令で動く場合もあります。
本書『月の影 影の海 』では陽子が妖魔に襲われそうになる夢を見ることから始まります。

ネタバレあらすじと読書感想

本編は主人公の女子高生、陽子の成長物語と言えるでしょう。
物語の冒頭では

 

「親の言うことは渋々でも聞く」
「友達には当たり障りのない対応をする」
「いじめられているクラスメイトには同情するも矛先がこちらに向くのが怖くてみんなに合わす」

 

こんな「ことなかれ主義」的な主人公の性格を描き、怒涛のような展開で異世界に放り込投げます(^^;)

いきなりケイキと名乗る男が現れ、陽子をどこかに連れて行こうとします。
その先には妖魔が立ちはだかり・・・。
陽子は当然、戦えません。
今まで喧嘩一つしたことなかった陽子ですがケイキたちに不思議な力を持った刀を与えられ、さらに剣技を心得ている妖魔、ジョウユウに憑依され、無理やり戦わされます。
この辺りは展開が急すぎてついていけない感がありますが、とりあえず読み進めると後々わかってきます。

異世界に来てからの陽子は苦労の連続です。
いきなり妖魔に襲撃され、ケイキたちとはぐれてしまいます。
そして運悪く、陽子が流れ着いたのは巧国。海客に厳しい国です。大体においては死刑にされてしまいます。
陽子は巧国に来て、最初に話した男たちに捕まり危うく処刑になりかけますが妖魔が襲撃してきたことにより何とか逃げ出します。
不思議な力を持った刀とジョウユウに憑依されているお陰で陽子はそこそこの剣士としての腕前を持っていることになります。
しかし、心がついていきません。
妖魔を斬り、血を浴びるたびに何とも言えない不快な気持ちになり、早くケイキたちと再会して日本に戻りたいと強く思います。

ここから当面、試練は続きます。

衣類を盗みに入ったのに優しくしてくれた達姐(たつき)は実は陽子を売春宿に売ろうとしてました。
旅先の宿で偶然あった日本出身の海客の老人には心を開いたが有り金を全部盗まれてしまいます。
海客というのがばれてしまえば死刑になるので迂闊に街に入ることもできず、夜は妖魔に襲われ死闘を繰り返す・・・。

不思議な刀の鞘についていた「珠」のお陰で命を繋いできたものの、陽子の心は荒みはじめます。
人を信頼しては裏切られ、来る日も来る日も妖魔に襲撃される・・・。
こんな生活を送っているうちにいつしか人を信じることができず、妖魔を切り殺しても何とも思わなくなっていきます。

また夜な夜な現れる猿の戯言と刀に映し出さる幻影にも悩まされます。
特に幻影の方は陽子の心を深く傷つかせます。

陽子がいなくなってからの「日本」の状況が映し出され・・・。

 

友達「私はそんなに仲良くなかった」
先生「優等生だったが得体の知れない部分があった」
両親「言うことをちゃんと聞く子だったけど、私の知らないところでは・・・」

 

この世界でも味方はいないが仮に向こうの世界に戻れても実は味方がいなかったんだ・・・。
今までどんな人にも本音でぶつかっていったことがなく、何と薄ぺっらい関係だったのかを痛感させられます。

そのことが陽子の心をさらに荒ませます。
某スペースファンタジー映画の表現を借りるとダークサイドに落ちる寸前といったところでしょうか(^^;)

上巻は陽子の試練の話で終わります。
辛くて重たい話に終始しますが下巻から展開が変わってきます。

野垂れ死にそうになっていたところを半人半獣のネズミ、楽俊(ラクシュン)に助けられます。
楽俊がネズミの姿をしていることで若干の警戒心を緩めることができましたが、この頃の陽子はすでに簡単に人を信用しなくなっています。
背に腹は代えられず楽俊の看病を受け入れるも常に警戒をしています。

楽俊は利発で陽子にこの国の地理や歴史について教えます。
この件は私たち読者にとっても十二国の舞台設定をより深く理解できるので今後の物語にすっと入っていけて助かります(^^)

そして「海客なら延王の力を借りるといい」とアドバイスします。
延王とは雁国を統べる王のことで、500年も統治を続けている名君とのこと。
雁国では海客の扱いも巧国のようにひどくないとのこと・・・。

陽子は楽俊とともに雁国を目指すことになりますが、心は開いてません。

 

「また、騙されているかもしれない」
「信用しなければ裏切られれることはない」

 

こんな気持ちで警戒心をときませんでした。

雁国の旅は序盤こそ順調でしたが、いつもの如く妖魔が現れてから状況が一変。
止める楽俊を振り切り妖魔に挑みかかる陽子。
この頃すでに陽子は妖魔を斬り殺すことに何の躊躇もなく、むしろ快感を覚えてました。

妖魔を片付けた頃、衛士が飛び出してくることに気づきます。
見つかるとまずいです。

辺りを見渡し、楽俊を探すと妖魔たちに襲われて倒れている人々の中に怪我をして倒れていました。
まだ死んではいない様子です。

そこで陽子は考えます。

 

「楽俊を助けるべきか」
「このまま見捨てて逃げるべきか」
「とどめを刺し殺すべきか」

 

助けに行くと介護している間に衛士に見つかり捕まるかもしれません。
このまま見捨てていくと楽俊に告げ口され、雁国の道が断たれるかもしれません。
人思いに殺して、財布を盗んでいけばこの先に何の心配もいらないかもしれません・・・。

葛藤した末、陽子はその場を逃げ出します。
その後は自分のとった行動について悩みながら雁国の旅を一人で続けます。

そして苦労を重ねて雁国に辿り着いた先には何と楽俊が待っていました。
楽俊と再会したことにより、再び人を信頼できるようになります。

この頃は「世間知らずの女子高生」でもなく「人を信じることのできない荒んだ野盗」のようでもなく、この世界でしっかりと生きていける知恵と勇気をもった女性に成長しています。

雁国についてからも物語は急展開します。

陽子は延王と会うことにより自分の運命を知ることになります。
どのような運命が待っているのか・・・。

是非、本書を手に取ってみてください(^^)

まとめ

ファンタジー小説は好きなのですが、シリーズものは手に取るに時間がかかってしまいます。
のめり込んだら最後、当面は他の本が手につかなくなる可能性があるからです(^^;)

シリーズものでも各巻を一つの物語として読めるのなら良いのですが・・・。
『十二国記』もその類の本だろうと手に取ってみたのですが、もうすでに続巻を読み始めてます(^^;)

今後の物語の展開が非常に楽しみです。
引き続き、続巻も読了後に記事にしたいと思います。

以上、「十二国記【月の影 影の海 上・下巻】小説版の読書感想・あらすじ」でした。

 

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