スイング ジャズの名曲とおすすめミュージシャン10選

1920~30年代はスイングジャズ全盛の時期で、大衆人気があり、当時のアメリカでは国民的音楽でした。
その後に登場するモダンジャズ(ビ・バップ、ハードバップ、モード)のようなミュージシャンの創造性と演奏力を堪能するような鑑賞用の音楽ではなく、気軽に楽しめるダンスミュージックとして人気を得てました。
故にジャズを「難解」な音楽と受け付けない方でもスイングジャズなら結構、耳になじむかも知れません。
今回はスイングジャズ時代のおすすめミュージシャン(楽団)を名曲動画付きで紹介します。

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スイングジャズとは

スイングジャズのはじまり

1922年、サッチモことルイ・アームストロングがジャズ発祥の地と呼ばれるニューオーリンズからシカゴに移ることで同地のジャズは大いに盛り上がりました。
もともとシカゴでは白人のミュージシャンが多かったのですが、この頃は黒人が働き口を求め、シカゴに大挙していました。
黒人たちの音楽であるニューオーリンズジャズをシカゴの白人ミュージシャン達が取り入れることで、より洗練されたシカゴスタイルと呼ばれるジャズが生まれ、スイングジャズの原型になったと言われています。

もう一つ、カンザス・シティで発展したジャズもスイングジャズの原型と言われています。
同地のミュージシャンはスインギーなサウンドが得意でカウント・ベイジーがその代表格です。
この時代より大編成バンド、いわゆるビッグバンドが主流になってきます。

ニューヨークで開花するスイングジャズ

ニューヨークでは主にナイトクラブでジャズの演奏に力を入れていきます。
1924年にはサッチモがシカゴからニューヨークにやってきて当時一番人気の楽団、フレッチャー・ヘンダーソン楽団に入り、地元のジャズミュージシャンに大きな影響を与えます。
また1927年には最高級クラブ「コットンクラブ」でデューク・エリントン楽団が演奏をはじめ、大きな話題を呼びます。

世界大恐慌とベニー・グッドマン

1929年、世界大恐慌によりアメリカの経済は破綻をきたし、失業者で溢れかえっていました。
失望のどん底にいたアメリカにつかの間の喜びを与えたのがスイングジャズです。

1930年代の半ば頃、景気はやっと上向きになってきた頃、ベニー・グッドマンの登場によりスイングジャズの人気はピークを向かえます。
ベニー・グッドマンは明るく誰でも親しめるスイングサウンドで大衆人気を獲得し、ジャズをアメリカの国民的音楽まで押し上げます。
この頃はベニ・ーグッドマン以外にもグレン・ミラーなどのスイング系の白人ミュージシャンが多数活躍した時期で、彼らの大衆人気を支えたのが専属のジャズシンガーたちでした。
スイングジャズ全盛を象徴する極めつけの出来事は1938年。
ベニー・グッドマンがジャズミュージシャンとして初めてクラッシクの殿堂「カーネギーホール」で演奏する快挙を成し遂げます。

以下からおすすめミュージシャンの紹介となります。
紹介しているジャズミュージシャンの動画とおすすめアルバムは必ずしもリンクしておりません。
動画に関してはおススメアルバムの中から探しているというより、ライブ映像など私なりそのミュージシャンの良さがわかるものであったり、ジャズ初心者の方でもわかりやすいキャッチーな曲であることを重視してます。

スイングジャズおすすめ①

ベニー・グッドマン(楽団)【Sing Sing Sing】


スイング時代の最大のスター、ベニー・グッドマン。
クラリネットを独学で学び、12歳で遊覧船のバンドに参加、16歳でベン・ボラック楽団に入団する等、若くして才能を開花させます。
余談ですがクラリネットは管楽器の中でも難易度が高い楽器です。それを独学でマスターするのですから子ども頃から如何に音楽の才能があったのかを伺い知れます。

独立後は誰でも楽しめる明るい演奏を信条とし、大衆人気を獲得していきます。
『Sing Sing Sing』は今でもよくビッグバンドで演奏されるスイングジャズの代表曲です。

スイングジャズおすすめ②

グレン・ミラー(楽団)【In The Mood】

1930年代、ベニー・グッドマンと双璧をなすほど人気のあったミュージシャン。
トロンボーン奏者でありますが編曲の能力にも長けていて、自身のバンドを率いて独自のサウンドを追求していきます。
動画で紹介した『In The Mood』以外にも『Moonlight Serenade』『茶色の小瓶』などスイングジャズの名曲を残してます。

グレン・ミラーは人気絶頂の時期に空軍に志願。演奏隊を率い、国のために戦っている軍人のために各国を回り演奏活動を行います。
戦時中の軍人はグレン・ミラーの音楽で祖国を思い出し、励まされたといいます。
この時期はまさにグレン・ミラーサウンドは国民的音楽でした。

スイングジャズおすすめ③

カウント・ベイジー(楽団)【April In Paris】


カンザス・シティで名を馳せ、スイングジャズ黄金時代を担ったミュージシャンの一人です。
彼の楽団の特徴は徹底的なスイングとソロイストを次々に前面に出すこと。
レスター・ヤングもカウント・ベイジー楽団に所属していたことがあるのですが、彼のようなスターは華麗な演奏を披露する場を充分に与えられることになり、また他のソロイストたちも自分の力量を試される、いわば登竜門的な場にもなりました。

1940年以降、スイングジャズは衰退していき、彼のバンドも例外ではなく縮小されていくのですが、1951年にビッグバンドとして活動を再開。その後は長きにわたり活躍しました。

スイングジャズおすすめ④

デューク・エリントン【Caravan】


スイングジャズに留まらず、ジャズの歴史の中においても重要なミュージシャンの一人です。
子ども頃から「まるで貴族のような優雅で上品な立ち振る舞い」をすることからデューク(公爵)というニックネームがつけられました。

1927年にニューヨーク、ハーレムの最高級クラブ「コットンクラブ」で定期演奏をはじめ、1930年代はイギリス王室のサポートを受けながら世界各国を回って演奏活動を行いました。
彼の優雅な立ち振る舞い、独創的なサウンドから裕福層、インテリ層の指示を得て1940年以降、ビッグバンドが衰退していった中でも彼の楽団だけは安定した人気を誇ってました。
作曲家としても優秀で『A列車で行こう』『Caravan』など多くのジャズスタンダード曲をこの楽団で発表してきました。

スイングジャズおすすめ⑤

ルイ・アームストロング【Dinah】


この人もスイングジャズの枠にはまりきらない人ですが、スイングジャズに多大な影響を与えた人物ですので紹介させていただきます。
1910年代から、とにかくジャズの中心にいた人です。ニューオーリンズ、シカゴ、ニューヨークと行くところ全てで圧倒的人気を獲得しています。トランペット奏者ですが独特な声を活かしたボーカリストとしても有名です。
あのだみ声!?が何とも温かい雰囲気を醸し出すんですね。

サッチモの代表曲は『この素晴らしき世界』ですが、動画は1930年代のスイングジャズ全盛期のものを紹介しております。

スイングジャズおすすめ⑥

エラ・フィッツジェラルド【Mack The Knife】


スイングジャズの時代には楽団に所属するシンガーの存在も重要でした。
エラ・フィッツジェラルドはスイングジャズ全盛の時代から活躍する、女性ジャズ・ボーカリスト御三家の一人です。(他はサラ・ヴォーン、ビリー・ホリディ)

動画を観ていただければと思うのですが軽快な歌声とバネのようなしなやかなリズム感。
「明るく誰でも親しめる」というのがスイングジャズの特徴なのでまさにエラ・フィッツジェラルドのボーカルはピッタリです。

スイングジャズおすすめ⑦

ビリー・ホリデイ【All Of Me】


エラ・フィッツジェラルドと同じく、女性ジャズ・ボーカリスト御三家の一人。
動画を観ていただくとビリー・ホリディは明るいエラと違い、どこが影のあるイメージを持つのではと思います。
彼女はその才能とは裏腹にジャズ史上の中でも壮絶な人生を歩んだと言われる人です。

黒人差別、性差別、麻薬、アルコール・・・。
負のイメージのオンパレードです(^^;)

しかし感情豊かな唄声と独特の世界感はジャズのみならず多くのミュージシャンに影響を与えました。

スイングジャズおすすめ⑧

フランク・シナトラ【Fly Me To The Moon】


1930~1990年代までの長きの間、数々の世界的ヒット曲を残した大スター。
音楽以外でもマフィアとの関係やケネディとの仲など話題に事欠かない人物でもありました。
そんな彼も1930年代はビッグバンドのシンガーとして活躍していました。

動画の『Fly Me To The Moon』はジャズのスタンダート曲の中でも人気が高い曲です。
日本でもジャズミュージシャンはもとよりJ-POPのミュージシャンも取り上げるほどです。

スイングジャズおすすめ⑧

ナット・キング・コール【WHAT IS THIS THING CALLED LOVE】


後にボーカルに転向してポピュラー路線で成功を収めたナット・キング・コールもスイングジャズの時代はピアニストでした。
動画は彼のピアニスト時代のものを紹介します。

ナット・キング・コールについては詳細に紹介した記事が別にありますので、もしよろしければご覧ください(^^)

ナット・キング・コールでジャズスタンダード曲を愉しむ【love】【スマイル】等

スイングジャズおすすめ⑩

レスター・ヤング【INDIANA】


最後はテナーサックス奏者のレスター・ヤング。
スイングジャズの時代にフレッチャー・ヘンダーソン楽団、カウント・ベイジー楽団などで看板奏者として活躍しました。
ビリー・ホリディと同じ楽団に所属していたことがあり、プレスという愛称で呼ばれるなど仲が良かったそうです。

当時のテナーサックス奏者の演奏スタイルはコールマン・ホーキンスのような豪快でバリバリ演奏するのが主流でしたが、レスター・ヤングの演奏はリリカルで歌声溢れるもの。
やみくもに大きな音を出さないので時には「音が小さい」と酷評されることもありました。

彼の凄いところはスイングジャズの時代の看板奏者でありながら、その演奏スタイルは1940年以降に誕生するビ・バップ、クールジャズ系のミュージシャンに大きな影響を与えたこと。
彼の存在がジャズが次のステージに進むきっかけとなった訳です。

まとめ

スイングジャズは1940年以降、第二次世界大戦の影響による不況で大編成のバンドの維持が難しくなったこと、デイジー・ガレスピー、チャーリー・パーカーにより新しいジャズの形、ビ・バップが生まれたこと、そしてアメリカの国民的音楽がジャズからロックに移ったことが原因でどんどん衰退していきます。

このことにより大衆人気はロックに取られ、ジャズは芸術性の高い通好みの音楽としての位置づけになっていきます。(それでも時にはジャズアルバムも世界的にヒットになったり賞を取ったりはしますが)

しかし、一時期は国民的音楽として大衆人気を得た音楽です。ジャズに興味を持ち始めた方はスイングジャズから入るのも良いかと思います。
余談ですが私がサックスを習い始めた10年前くらい前の話ですが、同じサックス教室に通っている方に「サックスを始めたきっかけ」を尋ねると『スイングガールズ』という映画の影響との答えが結構ありました。
これはまさにスイングジャズに影響されたということです。
『スイングガールズ』も久しぶりに観たいな~と思うときがあるのですが・・・。
Amazonビデオでやってくれるのを願ってます(^^;)

以上、スイング ジャズの名曲とおすすめミュージシャン10選でした。

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